急性膵炎の原因には、お酒の飲みすぎ、胆石、遺伝性、突発性、薬剤、手術、外傷など、さまざまなものがあります。しかし、最大の原因はなんといってもお酒の飲みすぎです。急性膵炎の原因調査でも、アルコール性の急性膵炎が男性で第1位、女性でも第3位となっています。
お酒の飲みすぎが原因といっても、一時的に飲みすぎたからといって発症するわけではありません。また、長期間にわたってお酒を飲み続けた人がすべて急性膵炎になるわけでもありません。長年にわたって適量以上のお酒を飲んでいる人が、いつも以上に大量に飲酒した場合に、急性膵炎は起こりやすくなります。
では、お酒が急性膵炎を引き起こすメカニズムを見てみましょう。お酒に含まれるアルコールには胃液の分泌を高める働きがあり、胃液には膵液の分泌を促す働きがあります。つまり、お酒を飲むと膵液の分泌が増えるのです。
この膵液が十二指腸にスムーズに流れれば問題ないのですが、膵液の分泌量が増えると膵管の出口部分で調節がうまくいかなくなったり、アルコールによって出口部分がむくんだりすることがあります。
このような状態になると膵液が十二指腸に流れ込めず、膵管内にたまってしまいます。さらに膵液が分泌されると、たまっている膵液は膵管に内側から圧力をかけるようになり、この時に激しい腹痛を感じるようになります。
膵管が圧力に耐えられなくなると、膵管が破けて膵液がすい臓内にあふれ出し、すい臓が消化されるようになります。
また、急性膵炎の大きな原因として胆石があります。胆石は胆汁の成分が石のように固まったもので、通常は胆のうの中にありますが、胆のうの収縮などによって胆管に移動することがあります。
胆管と膵管は十二指腸への出口部分で合流しており、移動してきた胆石が出口を塞いでしまうと、膵液がスムーズに流れ出ることができなくなるために膵炎を引き起こします。特に女性は、胆石による急性膵炎が多いという特徴があります。