膵臓の病気が年々増加しており、膵臓癌による死亡者数も増加傾向にあります。膵臓の病気はどうして増えているのか、膵臓にはどんな病気があるのか知っておきましょう。
「膵臓(すいぞう)はどんな臓器ですか?」と聞いて答えられる人は少ないのではないでしょうか?聞いた事はあるけれど、どこにあるのか、どんな働きをしているのかははっきりしない…。そんな人が大半だと思います。それほど、膵臓はメジャーではない臓器といえます。
しかし、膵臓は私たちの体の中で非常に重要な役割を果たしているのです。
膵臓の大きな役割のひとつに消化液の分泌があります。食べ物の消化が胃で行われることはよく知られていますが、膵臓からも消化に欠かせない多くの消化液が分泌されています。
また、血液中の血糖値を調節するインスリンやグルカゴンといったホルモンの分泌を行っているのも膵臓なのです。ですから、この膵臓に病気が発症して機能が低下すると、全身にさまざまな悪影響を及ぼすのです。
近年、膵臓の病気が増加傾向にあります。これは生活習慣病の増加と同様で、食生活の欧米化によって肉類や脂肪分の摂取が多くなったことが大きな原因となっています。また、お酒の摂取量が増えていることも原因のひとつと考えられています。
膵臓の病気には急性膵炎や慢性膵炎などがありますが、これらの病気は上記の理由に加えて、ストレスや不規則な生活、肥満なども発症リスクになります。
膵臓癌も増加傾向にあり、2013年の臓器別がん死亡率では肺がん、胃がん、大腸がんに次いで、膵臓癌が第4位になっています。長年第4位だった肝臓がんを上回ったことを考えると、膵臓癌の増加傾向が見てとれます。
膵臓癌の死亡数が多い理由のひとつに、膵臓が体の奥深くにあるため病気の早期発見が難しいという理由があります。膵臓癌の初期症状はほとんどなく、自覚できる症状が現れて発見された時にはすでに進行が進んだ状態(ステージ4)であることが少なくありません。
しかし、最近では膵臓癌の検査は技術が格段に進歩しており、超音波検査や内視鏡検査、CT、MRIなどによって多くの情報が得られるようになりました。その結果、早期発見・早期治療が可能になるケースも増えてきましたが、やはり膵臓癌は発見しづらい癌に変わりありません。
健康診断で「要精密検査」といわれたり、普段から気になる症状がある人、膵臓癌の原因となるリスク群に当てはまる人は、すぐに精密検査を受けるようにしましょう。
膵臓は比較的マイナーな臓器であるため、その病気もあまり知られていません。しかしながら、膵臓は消化液の分泌や血糖値をコントロールするホルモンの分泌など非常に重要な役割を担っているため、病気によって膵臓の機能が低下すると、全身に大きな影響を及ぼします。
膵臓の代表的な病気として、急性膵炎、慢性膵炎、膵臓癌が挙げられます。急性膵炎は膵液に含まれている消化酵素によって膵臓自体が消化されてしまう病気で、激痛や下痢、嘔吐を伴います。
慢性膵炎は膵臓に慢性的な炎症が起こることで細胞が線維化し、膵臓の機能が低下する病気です。急性膵炎は膵臓の機能低下を起こしませんが、慢性膵炎による機能低下は一方通行であり、低下した機能が元に戻ることはありません。
膵臓癌は近年着実に患者数が増加しており、2013年の部位別がん死亡率でも肝臓癌を抜いて第4位になっています。膵臓癌は初期症状が非常に乏しく、症状があったとしても膵臓癌に固有の症状ではないため、早期発見が非常に難しい癌の1つです。
このほか、膵臓内に嚢胞(のうほう)ができる膵嚢胞という病気もあります。嚢胞とは袋状の物質で、中は液体や半流動体で満たされています。膵嚢胞ができる原因はさまざまですが、良性の場合がほとんどです。しかし、稀に悪性の嚢胞ができる場合もあり、悪性もしくは悪性が否定できない場合は治療が行われます。