すい臓がんは非常に発見しにくく、多くの場合で発見時にはかなり進行した状態のため、致死率が高い恐ろしい癌です。だからこそ、いかに早くすい臓がんを発見するかが最も重要なポイントとなります。
すい臓がんの初期は自覚症状がほとんどない、もしくは特徴的な症状が少なく、その事が発見を遅らせる原因となっています。それでもすい臓がんの症状と思われる自覚症状がある場合は、少しでも早く病院で検査する事が大切です。
多くの方が定期的に受けている検査として「健康診断」があります。健康診断の検査内容は基本プランやどのようなオプションをつけるかによって異なりますが、標準的な健康診断の中ですい臓がんを発見できる可能性がある検査が「腹部超音波検査(いわゆる腹部エコー)」です。
しかし、健康診断で腹部超音波検査を行っているからといって、「がんが早期発見できる」わけではありません。
すい臓がんは腫瘍の大きさが2cm以下の早期に発見しなければなりませんが、腹部超音波検査ですい臓がんを早期に発見できる可能性はたったの0.003%というデータがあります。
つまり、標準的な健康診断ですい臓がんを早期発見することは極めて難しいということです。毎年健康診断を受けているからと過信せず、少しでも心配があれば医療機関ですい臓がんの検査を受けるようにしましょう。
すい臓がんの初期症状はほとんどないため、自分で早期に気付くことは困難です。しかし、早期発見する1つのポイントとして、「血糖値の急上昇を見逃さないこと」があげられます。
すい臓は血糖値をコントロールするホルモンを分泌しているため、すい臓に異常が現れると血糖値を下げるインスリンの分泌量が減り、血糖値が急上昇します。
血糖値の上昇は暴飲暴食やストレス、遺伝性の糖尿病などによっても起こりますが、これらに思い当たる節がないのに血糖値が急上昇した場合はすい臓がんの可能性があります。
健康診断などで「空腹時血糖」「尿糖」「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の値が前回よりも急上昇している場合は要注意です。
また、アミラーゼと呼ばれるすい臓などから分泌される酵素が基準値を超えた場合、もしくは、腹部超音波検査(エコー)で膵嚢胞(すいのうほう)が見つかった場合も要注意です。
膵嚢胞自体はすい臓にできる液体のたまった袋であり、癌ではありませんが、膵嚢胞がある人はすい臓がんの発生リスクが20倍以上になるというデータがあります。いずれの場合も、速やかに医療機関(消化器内科・消化器外科など)ですい臓の精密検査を受けてみましょう。