急性膵炎とは、すい臓から分泌される膵液に含まれる消化酵素によって、すい臓自身が消化されてしまう病気です。膵液には炭水化物や脂肪、タンパク質を消化する酵素が含まれており、食べ物の消化に大きな役割を果たしています。
炭水化物や脂質を消化する酵素はすい臓の中にある状態から消化する能力を持っていますが、タンパク質を消化する酵素はすい臓がタンパク質でできているために、すい臓の中にいるうちは消化能力を持っていません。
このタンパク質消化酵素は十二指腸に分泌されると、腸内から分泌される酵素の働きによって消化能力を持つ消化酵素に変化します。このようにして、すい臓は消化酵素によって自分自身が消化されないように守られています。
何らかの原因によってすい臓内でタンパク質消化酵素が活性化し、消化能力を持つことがあります。このような状態になると、タンパク質分解酵素は周囲のタンパク質を分解するようになり、これがさらに他のタンパク質分解酵素を次々と活性化していきます。
この状態が続くとすい臓や膵管が消化されるようになり、急性膵炎を引き起こしてしまいます。
急性膵炎は年間で2万人ほどが発症していると推定されており、男女比でみると男性のほうが女性に比べて2倍近く発症しています。また、発症年齢のピークは男性で50代、女性で70代となっています。