癌の手術を受ける患者の多くは手術が初めてという方です。リスクを伴うために不安が尽きず、入院までの準備や入院期間も非常に気になります。入院から手術までの流れを知っておきましょう。
がんの治療法にはさまざまな方法がありますが、がんの治療において最も有効な手段は、がんの発生部位を切除する手術になります。手術と聞くとさまざまな不安が頭をよぎりますが、何日くらい入院しなければならないのかも大きな心配事の1つです。
多くの方が仕事や家事などを休まなければならなくなるほか、入院日数が長くなるほど医療費の心配も出てきます。
がんの手術にかかる入院日数は、がんの部位や進行度、術式によって異なるほか、術後の体の回復にかかる時間も年齢や体力によって異なります。厚生労働省が行った調査によると、がんの手術による平均入院日数は、胃がんで39.3日、大腸がんで34.1日、肝臓がんで30.4日、肺がんで39.7日でした。
これは全年代の平均値であり、年代別に見てみると35歳未満では平均より10日ほど短く、75歳以上では5日ほど長くなっています。いずれにせよ、癌は術後1ヶ月前後の入院が必要と考えて、職場や周囲への連絡をすませておく必要があります。
手術が決まったからといって、すぐに行われる訳ではありません。緊急性がない限り、多くの場合では入院してから1週間後くらいに行われます。入院してから施術までの間には、必要な検査が行われたり、体調管理などが行われます。
検査はがん診断時に行われていますが、手術でより正確にがん切除が行えるよう、詳しく検査が行われます。また、手術に耐えられるかどうかの検査も行われます。患者が心臓や肺、腎臓などに疾患をもっていると、身体が耐えられない危険性も考えられるからです。
このほか、検査前の問診で現在服用している薬や、アレルギーの有無についても聞かれます。これは、服用している薬の種類によっては検査や術中に使用する薬に影響を及ぼしたり、画像診断に使用される造影剤に対して強いアレルギー症状を起こす危険性もあるからです。
ですから、術前の問診ではどんな些細なことでも構いませんので、医師に伝えるようにしましょう。
手術の前には患者の家族も交えて、主治医から病状と手術について詳しい説明が行われます。ここでは、手術の具体的な内容(日程、予想所要時間等)が伝えられますので、気になることや不安なことがあれば聞いておきましょう。
医師から説明を聞き、自分が受ける手術について理解ができたら、「手術同意書」へのサインが求められます。これは、「医師から説明された病状と手術について十分に理解し、一定の割合で起こる合併症などの危険性なども承知した上で、手術を受ける事を同意しました」という患者自身の意思表示になるものです。
この「手術同意書」を見て身構えてしまう方もいますが、同意書にサインしたからといって必ず手術を受けなければならないというわけではありません。また、医師がどんな医療行為をしても許されるというものでもありません。
同意書にサインするということは、医師から十分に説明を受ける事ができたという医師と患者の信頼関係の構築にもなりますし、自分が手術を受けるという気持ちの整理にもなります。